ムラヴィンスキーって誰?

蒼穹のファフナー』って、話はつまらないけどついつい観てしまうが、どうして登場する女子キャラが皆、普通のシーンでもいちいちあんなにero雰囲気を常に漂わせているのか大きな謎であり、そのことが私の心を悩ませる。このままではいけない、私はもっとダメになってしまう、早く謎を解く鍵を見つけなければ――。
かような理由から、私はチャイコフスキーの「交響曲第4番、第5番、第6番」を突然聞きたくなり、CDを買おうと思いたったのだが、恥ずかしながらクラッシック音楽に対する素養が私にはこれっぽっちもなかった。
部屋にある音楽CDの95パーセントがアニメソング、アニメサントラのたぐいで、残りのCDはというと、主にロシア民謡を始めとし、カフカス中央アジア、南米などの民族音楽とかで構成されている。あとあるのは、加藤登紀子井上陽水富田勲とかが数枚程。

クラッシック音楽のCDは一枚も持ってない。
もともとそういう、芸術的な音楽に対する素養とかいうものがまったくゼロの人間。

小・中の学校での、音楽の授業も、通信簿はいつも五段階評価で「2」を取っていた。あの楽譜のおたまじゃくしの配列が何を意味しているのかとか、ほんとに基本的なことすら全然分らないまま成長してしまった。いまだに「転調」とか、「和音」とか、「変拍子」とか聞かされても、完全に「?」状態である。

まあただアニソン聞いてるぶんにはなんの問題もないからいいかと以前までは思っていたが、id:mamirinさんと知り合いになってから、一緒にアニメを観たりする機会が多くなって、ある時、

「ここで曲が転調してコード進行が云々〜。えっ? 何言ってるかさっぱりわからない?
ためたよキミぃ〜! そんなことじゃアニメ音楽の素晴らしさ、これぽっちもワカラナイヨ?
いつまでもアニオタという立場に甘えてるから、身体の大きな外国人選手に試合で毎回負けるんタヨ〜!」

と言い終わるや否やいきなりまみりんさん、私の鳩尾に正拳中段逆突きを思い切り食らわしてきて。
思わず「うっ!」となって崩れかかったこちらの体を払い腰の動作でアパートの床にたたきつけ、間髪入れずマウントポジションに移行。そうして馬乗りの体勢になったまま、朦朧としている私の頬に強いビンタを一発くれたかと思うと、不意に、破顔一笑

「きみぃ! 音楽センスを磨きたかったら、まず借力(チャクリキ)で地力を養ってから、坂本真綾のCDを毎日千回耳から血が出るまで聴きなさい! すべてはそれからタヨ〜!」

といった感じに、昔の極真の黒帯研究会さながらの厳しさと優しさでもって、まみりんさんは私を指導してくれたのだった。

まみりんさんの期待に応えるべく、以来時間を見つけては、誰もいない深夜の公園などで、我流ながら稽古を一人黙々と続けてきたが、
その成果があってか、たとえば声優の某N嬢の歌唱力はファンのひいき目の立場からしてもあれはちょっといくらなんでもあまりにもムニャムニャ……
と、臆することなく堂々と断言できるようにまで成長した私であった。



少々アニソンの余談が過ぎた。クラシックの話題に戻りたいと思う。

そういうわけで、クラシック音楽の知識は皆無なので、チャイコフスキーを聴くにしてもどの指揮者のどの演奏CDを買えばいいのかまったくわからない。
それなりにクラシックに詳しい学生時代の先輩に相談してはみたものの、株式投資デイトレードで生活している先輩は、最近の世界的な原油高とアメリカ大統領選が市場に与える影響について予想するのに忙しいらしく、

「そういうことは渋谷のタワレコとかのクラシックコーナーにいる店員に質問すれば詳しく説明してくれるから勝手に行って適当に買ってこい」と非常に冷たくそっけない返答。

仕方がないので、困った時のAmazon頼みでいつものように適当にレーベルを検索してみたら、ムラヴィンスキー指揮、レニングラート・フィルハーモニー管弦楽団演奏のCDが非常に素晴らしいとカスタマーレビューでたくさんの人が書いていた。


ムラヴィンスキー

誰それ?

レーニン勲章もらってたっけ?

へ、兵隊さんの階級で例えると、ショスタコを元帥としたら、ムラムラスキーは、ど、どれくらい偉いんだな?
おいおいまさか佐官クラスとかいう事は無いだろうなと少々危惧しながらも一応彼のCDを注文してみた。

数日後宅配便で届いた。

さっそく、聴いてみた。



感想:

クラシック初心者の私は単純に「わー、いい名曲だなあ」と感動したが、しかし、同じ曲の、他の指揮者による、別演奏バージョンを聞いたことが無いので、
ムラヴィンスキー」という才能が世界的に傑出したものなのかどうか、比較判断しようにもしようがなかった。
今度、ムラヴィンスキーに詳しい人を探していろいろ聞いてみようと思う。
……まあしかし、ただ一つ、今回はっきりとわかったことがある。
一緒にAmazonから届いた、

『Quartett! ビジュアルファンブック』

それに載っている二次元美少女のeroカラーイラスト、それはエルミタージュ美術館に展示されている古今東西の巨匠たちの手によるあまたの裸婦絵画の隣に並べて置いてみても決して遜色ない、素晴らしい美しさを有した歴史的名画である、この事実だけは芸術に対する素養などこれっぽっちも無い私にでも判ると、自信を持って断言できるのだった。(エルミタージュ美術館にどんな絵画が所蔵されているのか実のところ一枚も知らないけど)