南洋幻想とネオランガと武蔵野幻想

id:matakimikaさんの日記、

「マクロス ZERO」と「南海奇皇」の南洋幻想

について、今からしばらく寝て起きてそれから押入れの能登マリア像をじっと拝んでから自分なりの考えを書きたいと思います。


 ――9:00
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なんか眠れないのでぽちぽち書き始めます。
ちなみに論理的な文章は期待しないで下さい。ロジカルな思考っていうのがまったくできない、感覚的判断だけで生きてるタイプの人間なもので。
じゃあまあ思いついたまま何の脈絡もなく適当に書きます。

あと、id:matakimikaさんの当該日記(下記枠の中の文章)転載させてもらいますが、嫌でしたらおっしゃってください。すぐに消しますので。

マクロス ZERO とネオランガについて、それぞれの南洋思想の母胎がズレてるというような指摘。これちょっとおもしろいな。

↑某所での私の指摘に対するid:matakimikaさんの発言です。それに対し、返答として私見を述べさせてもらおうと思います。
……尚、ぶっちゃけ面倒くさいので、両作品の詳しい舞台設定の説明とかはぶかせてもらいます。興味が湧いた人は各自Goggleとかで調べてみてください。
あと、今回は『マクロス ZERO』『ネオランガ』における、いわゆる『南洋幻想』なるものに対するスタッフの捕らえ方の大きな差異について
考えてみたいので、それ以外の構成要素はぶっちゃけ無視。
とりあえず、ドラマとしてこの2作品が面白いか否とかいう最も重要な点もあっさり等閑に付して進めていっちゃいたいと思います。


 ――10:00


ていうか、眠れないまま徹夜でリアルタイム更新してます。脳がぱあになってもうた。
仙台エリかわいいよ仙台エリ。どうでもいいけガンスリのトリエラってアラブ系? リビア出身とかだったらケンキチ嬉しいな☆ IAEA! IAEA

一瞬寝てしまった。ヒロポンヒロポン


 ――11:00

  • そもそも『南洋幻想』とは何か?(『What is Karate?』)

幻想は幻想であるがゆえにアプリオリに甘美で魅惑的なものであると、とりあえず措定します(幻想を追い続けたがために悪夢に直面するようなことは起きるかもしれませんが、
幻想そのものには何の危険性もなく、よしんば少し毒を含んでいたとしても、それはイリュージョンの糖度(甘さ)を高めるための夏の縁側でスイカにかける塩と同じ効果の程度のものです)

今、香港製のネオランガのDVD第1話から流しながら書いてますが、なんかやっぱ好きだなこの作品の雰囲気。原作の會川昇に対しては心の底から「大っ嫌いって言いTai!」けど。

で、南洋幻想とは文字通り南洋(ここでは太平洋の南洋を指す)に対する幻想のことです(同語反復)。
いい加減真面目に説明しないとブチきれる人も出てきそうだから、ちゃんと説明すると、大きく分けて
南洋幻想には二つの立場からのものがあるのではなかろうかと、考えられます。
この日記の主題である、『マクロス ZEROにおける南洋幻想』と『ネオランガにおける南洋幻想』、それぞれの二項対立の図式の明瞭化、それがひじょーに難問なわけだったわけですが、
ネット上で有名な某ニュースサイト運営者のKさんが、ずばり的確に、その点についてあっさりと結論を出してくださったのでした。
私もその意見にDANZEN!賛成異議なしです。『ニニンがしのぶ伝』なんてアニメ、ケーブルで昨夜観てた己を自己批判してもうMADLAXとかも観るのやめて普通の男の子に戻ります。


 ――11:30


↓Kさんの書き込み。

ネオランガ』は特撮ファンの會川昇がシナリオなんで、『モスラ』などの特撮映画で
よくモチーフになっている南洋が日本人の故郷であるという幻想では。

『マクロスゼロ』の場合は、もっと素朴で、欧米圏でもよく見られる近代人を癒してくれる
社会としての南洋ってだけな気がします。

上で触れた日本人独特の南洋幻想に関しては長山靖生著の『偽史冒険世界』
(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/448003658X/)がお勧めです。


 ――12:00



 ――12:30


ぼくのすがたをみつけた シンシアが、なみだをうかべて
かけよってきた。

「ながいゆめを みていたようだわ。とてもこわいゆめ。
あくまが わたしたちをつかまえて、くらいほしのなかに
とじこめたの。でも、やみのなかから すいしょうの
ドラゴンがあらわれて、あくまを つかまえていったの。
そして、きがついたら ここに・・・・もしかして、
これも、ゆめのつづきなのかしら・・・・・」


……きっと夢の続きだよ。それも僕が見ている夢の続きの中に君は永遠にいるのさ……。

眠い。
でも、背中にいる黒のビジネススーツ姿のタイトミニの美人担当編集者が、
「先生……。眠らないで下さいな……」
って、耳にふうっと息を吹きかけてくるから! やべ、なんか出ちゃう。


 ――12:40


さてさてさて アニメ『カレイドスター』の馬鹿イエローキャブヒロイン(←我ながらひどい中傷発言だと思う)
は英語ペラペラなのに、俺は金払ってる駅前留学でさえ成績不良で強制退学させられてんもうメリクリスマス・ミスターローレンス!な〜んちゃって! としょんぼりしてたけど、私は元気です。
アムスで買ってきたハッパきめたから。今ならナベツネだって殴って見せるぜ?

  • マクロスゼロ』の場合は、もっと素朴で、欧米圏でもよく見られる近代人を癒してくれる社会としての南洋ってだけ

あー、いまでもタヒチやフィジーには、そうやって何の屈託もなくのんびりとオリエンタリズムin南太平洋を楽しむ欧米のリゾート客がいっぱいいますねえ。
うん、そういう『南洋幻想』はある意味非常に健全だと私は思い、もっとおやんなさい白い肌の人たち、
高い緯度に位置するあなたがたの御国では、こんなに強烈な陽光の照射も透明な海の広がりも彼方の珊瑚に打ち寄せ砕け散る波の響きの安らかさも決して味わえないでしょうから、紫外線で皮膚ガンにならないよう気をつけて、
ビーチパラソルの下チェアに横たわってペーパーバックの頁でもぼんやりめくりながら、人生のバカンスをまあせいぜい楽しんでいってくださいな、と、
なんとなく優しい気分になれるわけだが、しかしなぜ私が目撃した彼ら欧米人の観光客は、
目の前の本物のオーシャンブルーにぶよぶよ太った身体を浮かばせて真っ白な波の動きに遊ぶのではなく、
リゾートホテルの中庭にあるただのプールの方でちゃぷちゃぷ水浴びして、
むしろそちらの方を楽しんでいるような気配が感じられるのはなぜだろう……。
それが彼らの流儀なのだろうか? 憶えていたら死ぬ前に一度このことについて白人種のどこかの誰かに質問してみようと思う。


 ――14:00(お医者さんが来ていつもの注射をして帰っていきました)


しかし一日かけてだらだらとくだらない内容のはてなダイアリ更新なんて贅沢な時間の使い方、
違いのわかる男しかできない行為だね。誰だっけ? あのイブサンローランもきっと俺にベタぼれするはずだね(←確か映画女優です……よね?)

閑話休題


高校生の頃、国語の教科書で有名な『山月記』の作者、中島敦の大ファンになった。
夏休みさっそく地元の図書館に行き、地下書庫で埃をかぶっていた、昭和20年代出版のボロボロの中島敦全集(全3巻)を借り、
くそ暑い自室で汗を流しながら机に向かい、旧字体の文章に苦労しつつ、彼の全作品を読み終えた。
漢の武帝の治下、李陵、司馬遷、蘇武の彼ら三人各様の過酷な運命を描いた『李陵』はもちろん傑作だったが、
それ以上に私が魅了された小説は、『ジキル博士とハイド氏』『宝島』などで世界中に知られている作家、
ロバート・ルイス・スティヴンスン――44歳で死去――南太平洋はサモアでの彼の晩年を書き上げた長編小説、
『光と風と夢』http://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/1743_14532.html
こいつにやられてしまった。
この時はまだ今ほど病み壊れておらず柔らく繊細だった私の脳は、爾来、完全に、「私だけの南洋幻想」に取り憑かれてしまったのだった。

南洋南洋南洋。その日から私の心は憧れのロシアへの北進論と同時にまた赤道を越えてポリネシアへの南進論も夢見るようになっていた。


 ――16:00(ero同人誌鑑賞タイム)


ネオランガだけど、田中比呂人キャラデザってeroいな〜。あと、腹減ったので誰かオリジン弁当差し入れてください。


んで、旧ソ連圏は大学時代に列車で横断して旅した。ロシアへの憧憬がついにかなった。
それから社会人になってから、モロッコグルジアにも行くことができた。
そうして失業。
暇はある。
金も失業給付金がる。
海外旅行に行こう。ひょっとしたら、俺が破産するか国家が破産するか、またはその両方で、もう二度と海外旅行に行けないかもしれない。
では、人生最後の異国訪問はどこへ?
決まってる。南太平洋ポリネシアサモア独立国だ。首都アピアのあるウポル島へ、そして郊外の山の頂にあるスティヴンスンのお墓参りに行くのだ。
宿願は成就される日を待っている。さあ一刻も早く。
私の「観念としてのポリネシア」は世界中のどんな土地よりも美しく輝いていた。その島は平和で自然にあふれ、青い海から吹き渡ってくる潮風は必ず私の魂を優しく慰撫してくれるものと信じきっていた。


 ――18:00(昏倒してたらしい)


今、「冬ソナ」のヨン様から応援メッセージの紙切れが、レース鳩0777によって釜山から届けられました!
寝不足で気絶するまでがんばります!>チング(友へ)。


ほんと俺って馬鹿だよなあ。旅行前に南国気分を味わおうと、南の島を舞台にしたラノベを買って読んだり。

『星のバベル』
(この作者、蓬莱学園の人だったのね。あとイラストはネオランガと同じ人)


花嫁がいっぱい―総理大臣のえる! (角川スニーカー文庫) あとこれとか。


日記を続けるよ! 信じれば夢はかなうって魔法騎士レイアース光ちゃんも言ってたし!(全身虚脱状態で顔を両手で覆い肩を震わせ嗚咽をかすかにもらしながら)


そうしてNZ(中つ国)経由でサモアへ旅行に行ってきました。
結論:
10年来僕の大切に温めてきた南洋幻想は木っ端微塵に吹き飛んで到着翌日にはもう日本に帰りたくなりました。
理由:
島には海しかありませんでした。
きれいな青い海を30分眺めてたら完全に飽きました。いや、飽きるだけじゃなくて気が狂いそうになりました。
逃げ場のない閉鎖的な小さな絶海の孤島という環境に精神的に耐えられなくなっていきなりホームシックになりました。
なんか、到着数日後の夜中、小さな悲鳴を上げながら汗ダクダクになってホテルのベッドから飛び起き、
「島の自然の中歩いてて、や、野生のイノシシに突然襲われたらどうしよう!」
と、意味不明の激しい恐怖感に捕らわれて、ベッドでガタガタ明けがた近くまで震えてました。

正道会館の元・石井館長は、牛殺しの前にまず豚殺しにチャレンジしたそうだが、養豚場の四角いリングで
豚を倒すことはできず、むしろ自分の身が危なかったとか。空手黒帯の人が養豚一匹倒せないのに、
この俺はどうやって野生のイノシシと戦えばいいんだよ!? 武器なんて、丸めて棒状にした『カラフルピュアガール』ぐらいしかないよ!」

今になって冷静にあの時の精神状態を振り返ると、なんか引越し鬱病ならぬ、海外旅行鬱病に一時的に陥っていたのではないかと、思うわけで。

自然は確かに海も島の緑も美しく、人々も陽気で親切で、料理も新鮮なマグロの刺身を朝っぱらから
安い値段で腹いっぱい食べられたりして。
スティヴンスンのお墓参りもちゃんとすませたし。

あれがいけなかった。娯楽施設がまったくといっていいほど存在しない小さな島なので、
キューバとか釣りとかサーフィンとかジェットスキーとかのマリンスポーツが好きな人じゃないと、
全然楽しめない土地だった。
田舎過ぎて、首都も夜になるとほとんど人通りは無くなって。
もうオラこんな島イヤだ、何が南洋幻想だ、海がきれいだからってそれがなんだちゅうねん、
こんな島流しの刑3週間も耐えられません、ポリネシア系の女性の容姿は俺の好みじゃないし(いやでもインド系と華僑系の混血とおぼしき少女はめちゃくちゃ美人だった。その後姿を視姦してました、ずっと)、
そもそもそういう、いかがわしい店の一軒すらないし、首都から離れて島の反対の海岸にタクシーで移動し
そこの「ファレ(要するに壁が無い風通しの良い掘っ立て小屋)」に泊まって、となりの小屋の
オーストラリア人のサーファーが演奏するへったくそなギター聴きながら日本から持参した
エロゲー雑誌をすみずみまで読み終えたらやることもなく、仕方なくひざを抱えて目の前のゴミ一つ落ちてない白い砂浜と、
恐ろしいまでに透明に澄んだ海とそこを遊弋する明るい色の小魚と、沖合いのサンゴ礁にぶつかって砕ける波の飛沫の風景をぼんやりと眺めてたら、突然やり場の無い激しい怒りがわきあがり、やってられるか畜生なんで高いチケット代払ってまでこんなドドドドど田舎島やってきて、ぼーっと海見つめてなきゃいけねえんだよ、俺はエコロジストでもアウトドアマンでもないんだ、一番近いネットカフェまで山越えて車で40分かかるってどうちてなのかしら?みじめ、みじめ。もう切なさ炸裂、ついでに杉原真奈美の心臓もニトロの服用過多で炸裂したらマジで夢中になれる年頃じゃん? 制服脱いでもおれってムチャクチャ中毒患者だし。
しかしなんで平成ロビンソンクルーソーチックなひとり罰ゲーム受けなきゃならねえんだよ、もし現地人と遭遇したらお前の名前は今日からフライデーじゃなくて『メッセサンオーポリネシア店アルバイトリーダー』に決定だ、
コミケにはカヌーに乗って肉眼で夜空の星を天測しながらミクロネシア諸島経由で北上し一ヶ月後ぐらいに有明フェリーターミナルにたどり着いて上陸し、そのままの漂流民然としたボロボロの格好で企業ブースに並んで、TYPE-MOONの限定なんとかグッズひとつ買ったらそのまま速攻でまたカヌーに戻り何千キロもの距離を帰還、購入したグッズを持って首都アピアの港脇にあるあそこの汚い小さな魚市場のすみに立って、大声で、
ラスト・サムライ! ハラキリ・サムスン! シンカン・オチマチタ!」と何度も連呼してまわりに白眼視され、その晩集まった酋長連の合議の結果、悪い憑き物が落ちるまで塩水しか湧かない遠方のヤルート島へ放逐されてしまえばいいのよ、そうではなくて、祐巳? はい、祥子お姉さま、
とタコの木の下の日陰で、声に出して読みたい美しい日本語を忘れないように、ルバング島小野田少尉のようにぶつぶつ繰り返してたら、
のどが渇いてきたので、缶ビールでも買いに行って来てそれを全部体内に流し込み、夜光虫の輝く南洋の暖かい夜の海に身体を浮かべ平泳ぎでかきわけかきわけ進み、沖合いで俺の回収を待っているスーパーノーチラス号に乗船して、
井上・エレクトラ・喜久子さんといっしょに南十字星またたく宇宙(そら)の世界へと旅立ち、二人の激しい愛がぶつかり合うことで作動する愛欲の対消滅エンジンを星の海に轟かせ果てない銀河をどこまでも、と思い、
ミセス、フアァッキン・アドレス・プリーズと、酒売ってる場所を小屋の管理人のおばちゃんに聞いたら、
ここから唯一の雑貨屋まで歩いて一時間かかる、途中バスもタクシーもこないと聞かされてげんなり、小屋の蚊帳の中で潮騒を聞きながら頭を抱え、この島の生活は確かに精神的には豊かかもしれないが物質的には多分内戦中のアフリカの首都よりも貧しいに違いないと、つのる日本は秋葉原への望郷の思いを涙ぐみながらも必死にこらえ、
それからとなりの小屋から聞こえてくるオーストラリア人の下手糞なギターにかなり苛立つ自分がいるのだった。
あいつ、キレイな砂浜と青い海しかないこの超ステキ(Peッ!)ビーチにあと最低半年は過ごす予定だといってたが、ひょっとして国で女でも殺して逃げてきたんじゃねえだろうな?

……あー、ほんとに退屈で気が狂いそうな国(島)だ。旅するんなら、やっぱどこか大陸の政情不安な国の方が面白いや。