ダーク?ブルー

『ダーク?ブルー』http://www.albatros-film.com/movie/darkblue/

噂どおりの名作戦闘機映画だった。
そりゃ、宮崎駿庵野秀明やらが推薦するだけあって、もうディテールがやたらこだわってて。

イギリス本土防空戦のさなか、平和な地上、緑の芝生から空を見上げてみれば、その高みでは英国軍機とドイツ軍機が空中戦を行っていて。
すると地上へ金色の小さな物体がひとつ落ちてくる。拾い上げてみると、それは煙を吐き出しているまだ熱い、機銃の空薬莢で。

レーダー情報にもとづいた管制基地からの誘導により独軍爆撃機編隊を迎撃する描写。

ドーバー海峡の浜辺に流れ着く、戦死したパイロットの亡骸。

撃墜され田園地帯に落下傘降下して、民家の未亡人に助けを求めるが、チェコなまりの英語のためドイツ人パイロットではないかと疑われたり。

ロンドンから田舎に疎開している少女達がとてもかわいかったり。(ひょっとして宮崎駿はこの部分を推薦したのか?)

無事基地に帰投できた喜びから酒で酩酊するパイロット達。

被弾後、脱出しようとするが、必死に動かしても風防ガラスが開かない。そしてそのまま海面へと……。


個人的に感動したシーンの一つ。
チェコスロバキア義勇兵パイロット達は英語が苦手なので、穏やかそうな雰囲気のイギリス老婦人が彼らに英語の講義を行う。
「離陸は『To take off』、着陸は『To land』。発音に注意して」
老婦人は本当に何度も根気よく、繰り返し繰り返し、優しい口調でレクチャーするが、
一人の若くて生意気なパイロットが、
「クソ食らえだ。英語は嫌いだ」
と舌打ちして教室から出て行こうとする。
すると老婦人は、教室の出口で相手の前に立ちふさがり次のように言う。
「Young man, I am fighting the enemy by teaching you English. Do not sabotage my war effort!」
(あなたに英語を教えることが敵と私の戦いなの。私の戦いを妨害しないで!)

彼女の毅然とした態度に接したパイロットは、ひとこと謝罪して、また席に戻る――。
バトル?オブ?ブリテンが、いかに本当の意味でイギリス国民一人一人の強い意志によって戦われていたかが、
良く理解できる場面だと思います。