『小さな国の救世主2 おざなり将軍の巻』

krokawa2006-07-13

『小さな国の救世主2 おざなり将軍の巻』 読了。


以下感想:


・第1巻の時から疑問だったのだが、セリカスタンは旧ソ連からの独立国だけあって、やっぱり、公用語はロシア語だったか……。しかし主人公のノートPCにインストールされている日露音声認識翻訳ソフト、あまり性能良くなさそうだなあ。


・政府軍側、反政府軍側両方に、旧ソ連の元スペツナズ隊員たちが出てきて活躍するが、彼らはGRUスペツナズ、旧KGBスペツナズ、どちらの部隊出身なのだろう。


・シャリフ大尉がチェチェン系なのかずっと気になってしょうがない。


「女の子を見せしめのために公開処刑するなんて、そんな鬱展開、俺は嫌だよ!」
俺は好きだけどね、そういう鬱展開。


「……信じられんのぉ。違う部族どうしで結婚をするんか? それを認めるんか? そういや、龍也は何族なんじゃ?」
「え? 俺? 俺みたいなのは、オタク族って呼ばれてるけど、それは同じ趣味の集まりを呼ぶときの言い方で、このセリカスタンみたいな血の繋がりがあるものとは違うんだ」
 龍也の答えは理解を超えていたのだろう、サラサは腕組みをしたまま小さく首を振った。
「ふむ……理解できんの、想像もできん」

このへんのやりとり読んでて、谷甲州の小説『サージャント・グルカ』の一節を思い出した。

――最初のうちグルン軍曹は、ここに収容されているのは日本兵でも比較的おとなしい種族の者ばかりだろうと考えた。つまり日本人には多くの種族があって、前線でたたかっていたのは別の種族だと思ったのだ。
 だが意外なことに、日本には一種類しか種族がなかった。しかも戦闘のための職業カーストもなくて、軍隊にかり出された兵士は一般の市民ばかりだったらしい。それをきいたときグルン軍曹は、妙な気分になった。あれだけ多くの日本兵がたった一種類の種族で構成されているのも意外だったし、勇猛だった日本兵がどうしてここまでおとなしくなるのか理解できなかった。
(第三話 ゼェイル丘(シンガバハドール・グルン軍曹2))


・「萌えるセリカスタン語講座」……俺も美少女から語学レクチャー受けてえ。


アメリカそして中国が、レアメタル目当てにセリカスタンの内戦に介入する動きをみせているのに、どうして「グレート・ゲーム」の強大なプレイヤーであるところの肝心かなめのロシアがそれを静観しているのだろう。グルジアアブハジア紛争とかでは無理やりCIS平和維持軍(CISとは名ばかりでその実体は完全なロシア軍)を他国に強引に駐留させたりしてるのに。それとも、次の第3巻あたりでロシア軍がセリカスタンの内戦に強硬介入してくるという展開になるのだろうか。


セリカスタンの強制収容所ラーゲリ)に抑留されて亡くなった日本兵の御霊も、キンリの巫女は、弔ってくれたのだろうか?