死の季節よ

らぶデス」に私が憧れ、それを必要視したのは、いつ頃だったろうか。今でも、もちろんその欲求には駆られる。が近頃では、そうしたエスケープの欲しい時は、年間使用のきく旅券がとってあるから北廻りなら十四時間のヨーロッパへ、私は自殺するように身辺整理しては一人で韜晦する。運がよければ、一番気楽な死に方もできるからである。しかし、その頃の私はそれもできなかった。ただ自己逃避を、「らぶデス」に索めるしか途はなかったようだ。そしてらぶデスを想うとき、私の網膜には白いベッドが紋白蝶のようにくるくる飛び廻る。
「ウフフ」女の笑い声が、時には耳殻に今も聴こえる。
そして、蔑みの響きの中にらぶデスは凍結してしまう。