新生活万歳!
夢は風の中にきこえるあの音 虹色の七つの音よ 雪の日に消えたあの音 風ようたえよAの音から 佐々木昭一郎『四季・ユートピアノ』より (↑むらかわみちお『Ringlet』より孫引き) 「――佐々木昭一郎は“生”の一回性にこだわり、現実の中から“ドラマ”を発見する……」(『ドラマ』1980年12月号より)
同人誌の入稿データ制作のため徹夜。
徹夜明けで夕方までさらに作業。
眠くて眠くて仕方がないが、死んだら好きなだけ眠れるからその時好きなだけいくらでも眠ればいいと思ってがんばる。
知人が、貧乏な私の生活を哀れみ、同情し、なんと高級牡蛎料理を銀座でおごってくれるというので、
フラフラの頭のままながら、夜アパートを出る。
牡蛎料理はとても美味しかったです。
どうもありがとうございました。
それとひどく感動したのは、夜の銀座の風景。
古い昔からある日本の大会社や外資系巨大企業、高級百貨店、おしゃれなブティックなどが建ち並び、
それぞれの建物が、控えめに上品なネオンを輝かせているその夜の街区の光景がとても綺麗で。
銀座という場所は、東京の中でもすぐれて上品で美しい街だと思う。
東京の夜の空の下でひどく感傷的になった。
帰宅して、録画しておいた「マリみて春」を観る。
「いえ、私の心の叫びはチェーホフと同じです! さようなら古い生活! 新生活万歳!」
と『桜の園』ラストシーンのセリフをテレビの中で叫ぶのを聞いて非常に激しい精神的ショックを受ける。
気がつけば、自分の股間がグチョグチョに濡れていて。
思わず、失禁してしまっていた。
能登さんが、ロシアの、チェーホフの戯曲の一節を読み上げる、ただそれだけの行為が、
これほど容易に人の精神の均衡を突き崩し、失禁すらさせることもできるという事実は、私にとって大きな衝撃であった。