2004-06-08 「涙」 「涙」 石原吉郎 レストランの片隅で ひっそりとひとりで 食事をしていると ふいにわけもなく 涙があふれることがある なぜあふれるのか たぶん食べるそのことが むなしいのだ なぜ「私が」食べなければ いけないのか その理由が ふいに 私にわからなくなるのだ 分からないという ただそのことのために 涙がふいにあふれるのだ